基本情報技術者試験 平成31年度 春期 午前 問31
ネットワークの OSI 基本参照モデル(7 層)についての問題。
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平成31年度 春期 午前 問31
OSI 基本参照モデルのトランスポート層以上が異なる LAN システム相互間でプロトコル変換を行う機器はどれか。
ア ゲートウェイ
イ ブリッジ
ウ リピータ
エ ルータ
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解説
OSI 基本参照モデルは通信の機能を 7 つの層に分けて、各層毎にあるべき姿を定めたモデル。
あるべき姿をベンダが共通で持つことで、どのベンダ製のシステム間でも通信ができるようになる。
各ベンダが思い思いの仕様でネットワークを作り出すと、お互いに通信ができなくなるので、利用者は不便になってしまう。このような決まり事があるとベンダも利用者も嬉しい。
利用者はベンダロックイン(そのベンダのシステムじゃないと動かない、の状態)を回避しやすくなり、ベンダは販売ターゲットが広がる(ただし競争はもれなくついてくる)。
7 つも層が分かれていると覚えるのが大変だけど、ネットワーク周りの話をするときは必要な知識になる。
現在広く使われているインターネットは別のモデルを使っているが、根本の考え方は近いはず。
7つの層の名前とざっくりの役割は以下の通り。
上位の層から下位の層に対して、サービスの要求が発生する。
第 1 層 物理層
- 電気信号の送り方とか、ケーブルやコネクタの種類とか、物理的な接続の仕方を規定する。
- 1/0 の電気信号を届けるところだけを見てるので、電気信号の中身の意味は気にしない。電気信号の中身 = データの形式は第 2 層以上が規定している。
- ケーブルが長いと電気信号が減衰してしまうため、リピータ(選択肢ウ)というネットワーク機器を経路上に置くことで、電気信号の強さを復活させる。
第 2 層 データリンク層
- 直接つながっている(隣接している)機器の通信を規定する。規定した通信の電気信号をどうやって相手に届けるかは第 1 層に全て任せる。
- ネットワークインタフェースの MAC アドレスの話をしていたらこのデータリンク層の話と思ってよい。
- ブリッジ(選択肢イ)というネットワーク機器は接続されている機器の MAC アドレスを記憶している。電気信号から宛先の MAC アドレスを読み取り、必要な機器にだけ電気信号を送れる。
- スイッチングハブとか、L2 スイッチと呼ばれるネットワーク機器も MAC アドレスをみている。L2 の L は層(レイヤー、Layer)の頭文字。
第 3 層 ネットワーク層
- ネットワークのどこをどう通って通信するかを決める方法を規定する。
- よく見る IP アドレスはこの層が使うもの。指定した IP アドレスに通信を届けるための経路を決める(ルーティング)。
- 第 2 層の MAC アドレスとか、機器が隣接しているか、とかはこの層では一切気にしない。IP アドレスから通信経路を決めたのち、隣接した機器間でどう通信をしていくかは第 2 層に全て任せる。
- ルータ(選択肢エ)というネットワーク機器は通信に含まれる宛先の IP アドレスを理解できる。自身の各ポートの先にどの様な IP アドレスがあるかを記憶していて、必要なポートにだけ通信を中継していく。
- L3 スイッチと呼ばれるネットワーク機器も IP アドレスを扱える。
第 4 層 トランスポート層
- 第 3 層は IP アドレスで通信相手の機器(PC等)までの経路を決めていたが、第 4 層ではその機器の OS 上で動く各プロセスへの通信を規定する。
- ポート番号の話をしていたらこのトランスポート層の話と思っていい。どのプロセスに届けるかをポート番号で制御する。
- TCP とか UDP とか出てきてらこの層と思っていい。プロセス間の接続(コネクション)を維持する信頼性の高い TCP、接続を気にしない信頼性の低い UDP。
- 第 3 層以下のネットワーク機器であるリピータ、ブリッジ、ルータは第 4 層の話であるポート番号を扱えない(理解しない)。
- この問31 はトランスポート層より上位の層のプロトコルを理解して変換できる機器は?という問題なので、残るゲートウェイ(選択肢ア)が正解。
第 5 層 セッション層
- この辺りは問題でも実業務でもあまり出てこないので覚えなくても。。。
- プロセス間の通信(セッション)の開始、維持、終了を制御する方法が規定されている。
- 以上。
第 6 層 プレゼンテーション層
- この辺りは問題でも実業務でも。。。
- 文字コードとか、データの表現を規定する。
- 以上。
第 7 層 アプリケーション層
前後の問題はこちら。