基本情報技術者試験 令和元年度 秋季 午前 問14
デイジーチェーン接続についての問題。スター型との比較も。
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令和元年度 秋期 午前 問14
次に示す接続のうち、デイジーチェーンと呼ばれる接続方法はどれか。
ア
PC と計測機器とを RS-232C で接続し、PC とプリンタを USB を用いて接続する。
イ
Thunderbolt 接続ポートが 2 口ある 4K ディスプレイ 2 台を、PC の Thunderbolt 接続ポートから 1 台目のディスプレイにケーブルで接続し、さらに、1 台目のディスプレイと 2 台目のディスプレイとの間をケーブルで接続する。
ウ
キーボード、マウス及びプリンタを USB ハブにつなぎ、USB ハブと PC とを接続する。
エ
数台のネットワークカメラ及び PC をネットワークハブに接続する。
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解説
複数の機器を数珠つなぎにする(もしくは 1 つの輪にする)ような接続方法のこと。
daisy はヒナギクという意味で、daisy chain はヒナギクの花輪といった意味もある。
機器が数珠つなぎに接続されている様がヒナギクの花輪に似ているから、その様な接続方法をデイジーチェーンと呼ぶとのこと。
"デイジーチェーン" という言葉の響きと "ヒナギクの花輪" というイメージが個人的には全くあわない。
PC の周辺機器についても、PC から各周辺機器が順番に数珠つなぎになっていればデイジーチェーン接続と呼ばれる。
問題にある各選択肢の接続を絵にしてみると次のようになる。
選択肢から除外しやすいのは選択肢ウと選択肢エの 2 つ。
どちらも分岐があって一直線の数珠繋ぎになっていないので、正解ではない。
選択肢アは一直線だよね、と言われそうであるが、選択肢イのように PC "から" 各周辺機器が数珠つなぎになっている接続がデイジーチェーンと呼ばれる。
ということで、正解は選択肢イである。
デイジーチェーンのメリットとしては接続する機器が多くなっても PC 本体に多数のコネクタを必要としない点である。
選択肢イではディスプレイを 2 台繋いでいるが、PC 本体にはコネクタが 1 つあればいい。
一方のデメリットとしては全ての周辺機器との通信が同じ経路を通ることと、故障の影響範囲が(箇所によっては)大きい点である。
選択肢イでは PC とディスプレイ 2 との通信も、PC とディスプレイ 1 との接続ケーブルを通ることになる。機器を増やすと経路の負荷が高まり、応答が遅くなってしまう。
また、ディスプレイ 1 が故障したら、PC からはディスプレイ 2 も使えなくなってしまう。
デイジーチェーン接続でつなぐ機器を増やしすぎるとデメリットの影響がどんどん大きくなるので注意が必要である。
選択肢ウやエはスター型と呼ばれる接続方法になる。
デイジーチェーンのデメリットを(全てではないが)回避できているが、ハブやスイッチなどの多数のポートを備える中継機器が必要になる点がスター型のデメリットになる。
選択肢ウでは中継機器として USB ハブを用いている。
USB ハブには PC からの給電のみで動くバスパワー方式と、USB ハブそのものが電源につながるセルフパワー方式がある。
キーボードやマウス程度であればバスパワー方式でも十分であるが、HDD 等を多数つなげる場合はセルフパワー方式にしないと周辺機器への給電が足りなくなる可能性がでてくる。
選択肢エでは中継機器としてネットワークハブを用いている。
複数のネットワークカメラから同時に PC へ映像データが転送されていると推測できるので、ネットワークハブには接続されているネットワークカメラ台数分のデータ転送を遅延なく処理できる性能が必要になる。
この性能はスイッチング容量という仕様で表示される。
ネットワークハブの各ポート毎の性能がどれだけ高くても、ネットワークハブ内部の転送性能(スイッチング容量)が低いと各ポートの性能が活かせなくなる。
前後の問題はこちら。