基本情報技術者試験 平成31年度 春期 午前 問51
プロジェクトマネジメントにおける知識エリア(特にスコープ)の問題。
--------------------------
平成31年度 春期 午前 問51
プロジェクトマネジメントにおいて、目的 1 をもつプロセスと目的 2 をもつプロセスとが含まれる対象群はどれか。
[目的]
目的 1:プロジェクトの目標、成果物、要求事項及び境界を明確にする。
目的 2:プロジェクトの目標や成果物などの変更によって生じる、プロジェクトの機会となる影響を最大化し、脅威となる影響を最小化する。
ア コミュニケーション
イ スコープ
ウ 調達
エ リスク
--------------------------
解説
プロジェクトマネジメントにおける知識エリア(プロセス群)の問題。
知識エリアは以下のようなものがある。真面目な解説は長くなるので、一言で概要を書いてみる。
- 統合(他の知識エリアをまとめる)
- スコープ(誰が何をどこまでやるか管理する)
- タイム(いつまでに何を終わらせるかを管理する)
- コスト(予算やかかっている費用を管理する)
- 品質(作るものの品質を管理する)
- 人的資源(チームメンバを管理する)
- コミュニケーション(関係者との付き合い方を管理する)
- リスク(機会と脅威を管理する)
- 調達(外部からのモノの購入を管理する)
- ステークホルダー(利害関係者を管理する)
問題にある目的をみてみる。
目的 1:プロジェクトの目標、成果物、要求事項及び境界を明確にする。
上の知識エリアのどれに当てはまるかを考えると、成果物(何をつくるか)や境界(どこまでをやるのか)といった言葉からスコープとわかる。
なので、問題の正解は選択肢イのスコープ。
スコープの管理では WBS (Work Breakdown Structure)という文書を作成する。
ググればいくらでも説明がでてくるが、ざっくり書くと、プロジェクトの目標(ゴール)に向かうために必要な作業を段階的に細かくして、具体的な作業を見えるようにするための文書である。
- "BBQ をする" だけでは具体的な作業はみえない。
- "食材を準備する"、"機材を準備する"、"場所を用意する" と細かくする。
- "食材を準備する" を更に "肉を用意する"、"野菜を用意する" と細かくしていけば具体的な作業とその作業で作るもの(成果物)が具体的になってくる。
- 具体的な作業まで細かくできたら、その作業をやる人(担当者)を割り当てる。
プロジェクトの管理というと QCD(Quality、Cost、Delivery)で品質とコストと納期が重要視されるけど、まずはスコープの管理が重要になる。
品質を確保するためにも、プロジェクトで作るシステムの仕様(成果物)が明確に決まっていないといけない。仕様が曖昧だと、品質を確保するために行う各種テストが正しく用意できなくなってしまう。
コストを考えるには、プロジェクトでどこまでの作業をやるか(境界)が明確に決まっていないといけない。他社のシステムとの連結部分がある場合、うちの作業じゃないと思っていたけど実はやる必要ありました、となってしまうと予定にないコストが積みあがっていく。
納期を考えるためにも、プロジェクトでどこまでの作業をやるか(境界)が明確に決まっていないといけない。実はやる必要ありましたの作業が急にふってきたら、他の作業のスケジュールや最終的な納期にも影響してしまう。
スコープを決める際はプロジェクトの目標や成果物を明確に決めることはもちろん大事であるが、他社や顧客との境界にも注意が必要である。
調整が難しくなるプロジェクトの後半で "この作業はうちじゃないと思っていました" とお互いに言い出すと非常に面倒なことになる。
最初にスコープを明確にして、うちの作業になるならコストとスケジュールにしっかりと組み込んでおけばよい。
問題のもう一つの目的について。
目的 2:プロジェクトの目標や成果物などの変更によって生じる、プロジェクトの機会となる影響を最大化し、脅威となる影響を最小化する。
文章の後半は機会と脅威といったリスクに関する話をしているので、選択肢エを選ばせるひっかけだろうか。
文章の前半にある "目標や成果物などの変更によって生じる" の部分が大事になる。
これはスコープに変更があった場合はちゃんとコントロールしましょう、というプロセスになる。
|
知識エリアをちゃんと理解したい場合、PMBOK を勉強すると良い。
前後の問題はこちら。