A型システムエンジニアの勉強メモ

情報処理試験の午前問題をネタにして、解説をじっくり書きながら勉強しています。基礎は大事。

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基本情報技術者試験 平成31年度 春期 午前 問23

直流給電と交流給電の差異についての問題。

 

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基本情報技術者試験

平成31年度 春期 午前 問23

 

データセンタなどで採用されているサーバ、ネットワーク機器に対する直流給電の利点として、適切なものはどれか。

 

ア 交流から直流への変換、直流から交流への変換で生じる電力損失を低減できる。

 

イ 受電設備から CPU などの LSI まで、同じ電圧のまま給電できる。

 

ウ 停電の危険がないので、電源バックアップ用のバッテリを不要にできる。

 

エ トランスを用いて容易に昇圧、降圧ができる。

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解説

 

 

家庭用のコンセントは 50Hz や 60Hz といった交流電流を供給していて、PC 等の機器に繋ぐ場合は、その機器に付属の AC アダプターで直流に変換されている(PCに届く電流は直流になっている)。

 

データセンタでは大量に置かれているサーバやネットワーク機器ごとに AC アダプターの様な仕組みをもつと、変換に伴う電力損失が無駄に大きくなってしまう。

そこで、データセンタ側の電源設備で発電所から来ている交流を効率よく直流に変換してしまい、データセンタに設置されている機器に対しては変換済みの直流で給電することで全体の電力損失を低減できる。

 

ということで正解は選択肢アの「交流から直流への変換、直流から交流への変換で生じる電力損失を低減できる」となる。

 

 

選択肢イ「受電設備から CPU などの LSI まで、同じ電圧のまま給電できる。」は(やろうと思えば)交流でもできること。直流の利点にはならない。

 

選択肢ウ「停電の危険がないので、電源バックアップ用のバッテリを不要にできる。」は直流であってもできないこと。

停電の危険は交流だろうと直流だろうと同じようにある。

 

選択肢エ「トランスを用いて容易に昇圧、降圧ができる」は直流ではなく交流の利点である。

交流はトランスを用いて、直流の場合と比較して複雑でない設備で変圧ができる。

発電所から各地に送電する時には数万Vという高い電圧で送電される。これは送電線における電力損失を抑えるため。

各受電設備では高い電圧で届いた電流を通常使われる100Vや200Vに変圧する必要があるので、変圧しやすい交流が送電網に使用されている。

 

 

低い電圧でも電力損失が発生しない送電方法が開発されるか、直流の変圧を容易にできる技術が開発されたら、全て直流の送電網ができるのだろうか。

他にもいろいろと問題があるのだろうけども。

 

東と西の周波数の違い(50Hz or 60Hz)とか、どこで切り替わるのか、といった話題が古い話となってしまう時がくるのだろうか。

 

 

 前後の問題はこちら。