基本情報技術者試験 平成31年度 春期 午前 問20
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平成31年度 春期 午前 問20
OSI によるオープンソースソフトウェアの定義にしたがうときのオープンソースソフトウェアに対する取扱いとして、適切なものはどれか。
ア
ある特定の業界向けに作成されたオープンソースソフトウェアは、ソースコードを公開する範囲をその業界に限定るすことができる。
イ
オープンソースソフトウェアを改変して再配布する場合、元のソフトウェアと同じ配布条件となるように、同じライセンスを適用して配布する必要がある。
ウ
オープンソースソフトウェアを第三者が製品として再配布する場合、オープンソースソフトウェアの開発者は第三者に対してライセンス費を請求することができる。
エ
社内での利用などのようにオープンソースソフトウェアを改変しても再配布しない場合、改変部分のソースコードを公開しなくてもよい。
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解説
オープンソースソフトウェア(OSS)のライセンス、少しの違いと多くの横文字のおかげでわかりにくい。
よく聞くとこだと、GPL とか BSD、Apache など。
これらの詳細は、ぜひググって。
この問題にあるのは OSI によるオープンソースソフトウェアの"定義"。
OSS を活用して開発する際にライセンスをよく見ることはあっても、この定義まで見ることはあまりないかなと。
オープンソースの定義は以下。
厳密な解説を書く自信はないのでざっくりとした説明を併記。
1. 再頒布の自由
オープンソースソフトウェアであるためのライセンスは再頒布するときに有償とするか無償とするかを制限しない。また、有償として儲けた人に対してライセンス利用を理由にした報酬は要求できない。
2. ソースコード
オープンソースソフトウェアはソースコードを容易に入手できる必要があるし、容易に改変できるような状態であるべき。
3. 派生ソフトウェア
ソフトウェアの変更、派生ソフトウェアの作成を制限しない。また、派生ソフトウェアを同じライセンスの下で再頒布できるべき。
4. ソースコードの完全性
ソースコードを容易に入手できるようにする必要があるが、その際に元々のソースコードとそれに対するパッチの組み合わせで配布することを義務付けることはできる。
5. 個人に対する差別の禁止
ライセンスは特定の個人やグループを差別してはいけない。
6. 分野に対する差別の禁止
ライセンスは特定の分野に対する利用を制限してはいけない。
7. ライセンスの分配
プログラムについてくる権利は誰でも平等に使えること。また、つかう際に追加のライセンスへの同意を求めてはいけない。
8. 特定製品でのみ有効なライセンスは禁止
ある特定の製品の一部として動作することを前提とするライセンスではいけない。
9. 他のソフトウェアを制限するライセンスは禁止
オープンソースソフトウェアの頒布で、同じ媒体内に別のソフトウェアがあっても、そのソフトウェアがオープンソースであることを要求してはいけない。
10. ライセンスは技術的に中立であること
特定の技術やインタフェースに強く依存する規定がライセンスにあってはならない。
選択肢のアは "6. 分野に対する差別の禁止" に反する。
選択肢のイは "3. 派生ソフトウェア" のひっかけ。
3. で同じライセンスの下で再頒布できる必要はあるが、選択肢のように同じライセンスの適用を要求はできない。
選択肢のウは "1. 再頒布の自由" に反する(ライセンス費という報酬を要求してはいけない)
なので、問題の答えは選択肢エ。
ソースコードの公開が必要になるのは、再頒布した場合の話。
前後の問題はこちら。